ふるさとの老木(詩)
原発事故で奪われた故郷
ふるさとの老木
ふるさとの一本の老木
春の日をあびてなお生きぬ
春の花々に飾られ
広々とした田畑を見て
ここに根付きて長くもあれ
ここにやがて朽ちなむ
この土地に生まれ育ち老いしもの
そが朽ちてもなおここにあれ
在りし日を語りつつ
ここを愛しみつつありしかな
この老木は本当に生きているのか?どこの村でもこういう老木はある
原町区の大原にもあった、そして前田という所に農家があった
そこが空家になっている、その人と病院で一緒になったがまもなく死んでいた
それで死んだ後のことをしきりに息子に伝えていた
でも息子は街に出て働き帰り農業をするつもりはなかった
農業を継いでくれということがあったのだろう
それが悔しいということがあっのだろう。
その農家は相当に古い、前田という地名のある所は草分けの農家である。
前田からその村が拡大したのである。
老木という時、農民とか農家があるとふさわしい
農民とはその土地に根付き生きているからだ
商人とか工業に従事するとかなるといくら故郷に生きていてもその土地と密接に関係しないからである。
たでから農家は三代で農家として認められるというのはそのためである。
ただ一般的に人間は生物の一種だからやはり木や石のようになってゆく
年をとるとなにか動きたくない、定着志向になる
なんか自分も旅し続けたけど疲れて行きたくないとかなる
そして老人は生まれ育った所で死ぬのが幸いだともなる
その自然の生を奪ったのが原発事故だったのである。
そうして長く住んだ土地を離れざるを得ない、住めなくなったからである。
老人が故郷に帰りたいというときそういう自然な心情からそうなっている
ただ老人が帰りたいとしても若い人が帰らないと町も村も成り立たない
春の花々に飾られているというときそれは子供たちとか孫たちなのかもしれない、
老人がその土地で死ぬためにはやはり次世代の人が跡を継ぎその土地での生活の継続が必要になる、それが奪ってしまったのが原発だったのである。
それは酷いことだったのである。
それは金をもらっても補償しきれない問題である。
ただ農業というとき今は誰もやりたくないものになっていた、それで子供のとき親に農業だけはするなと殴られたと語った老人がいた、それは極端にしても親がそういうことを言っていたら子供が継ぐはずがない
その子供は原発で働くようになり避難させられたのである。
だから原発を誘致したというときその前の世代の親にも問題があったとなる
金になるなら原発を歓迎したとなるからだ。未来は原発とともにあるという標語まで双葉町ではかかげていたからである。
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