古殿からいわきの浜へ(俳句連作)
御斎所街道を行く
(夏)
小名浜に鰹一本朝の市
熱帯魚黒潮にのり波立に
朝つばめテントをたたみ旅たちぬ
テント張り明日も旅路や夏の星
六号線ハマヒルガオや朝走る
潮風や夏の旅路の六号線
風となり夏のライダ−すれ違う
(秋)
市の立つ古殿遠く秋の暮
鶏頭や一路下りぬいわきへと
街道の一路遠きも秋の朝
秋の峯古殿去りていわきへと
秋日さし馬頭観世音山の道
落鮎のここに死ねるや水清し
旅人の遠野を去るや刈田かな
街離れ遠野の里や稲架の立つ
なでしこやいわきの海の朝明けぬ
旅たつや波の音ひびく秋の朝
御斎所街道
いわきまでは夏にもで行った、小さな熱帯魚が波立海岸の岩礁に来ていた、それを見に千葉県から来ていた人がいた
熱帯魚が来るということはいわきは暖かい海であり黒潮の海だとなる
今回は秋に古殿からいわきの浜に御斎所街道を下ったときを俳句にした
記憶が何か消えてゆく、でもあの御斎所街道は急な坂であり下ってくるだけだから気持ちよかった
かなりの距離があったと思う、ここはいわきからは塩とか魚を馬で運び古殿からは木材とか炭とかを運んだ道である。
日本ではこうして海と山はつながっているのだ,いわきの浜から古殿を通り白河まで通じていた
塩が運ばれたとなる、それは相馬市の松川浦からはるばる飯館村まで運ばれた塩の道と同じである。
二本松までも運ばれたかから同じである
何回も言っているが旅は記憶に残らない旅をしないと後で思い出せなくなる
ここは地形的に記憶に残っている、坂が急だったことと坂をおりたところで川がありその水が澄んでいて落鮎が食べられる場があったその水は澄んでいて鮎が死んでいたのである。
そこから遠野にでた、農村風景でありそのとき稲架を立てていた、今は稲架をたてているのが見えない、機械ですぐに刈り取ってしまうからだろう。遠野の地名はどこから来たのか、いわきの市街から遠いからと今ならイメージする、でもそんなに遠くから遠野など地名をつけない,原町の大原に遠田とあるときそれは大原の前田から中心地からそれほど離れていないからである。
遠野とはそうした村の中心地から離れたところであり意外と近い場所になる
ただ今の感覚だといわきの市街から遠いので遠野とかイメージするのである。それだけ人間の距離感覚は広くなってしてまっいたのである。遠野市とかもあるがこれも別に遠くにある野ではない、村近くある野のことだろう。
いづれにしろ古殿の山からいわきの海へ行く途中に川があり遠野を通り海に出たことは記憶している
阿武隈高原になるとまだこうして海と結びつくのである。
そしていわきの浜でテントをはり寝た
朝明けたら撫子が咲いていていわきらしいともなった
ともかく旅はもしここを車で行ったら記憶されないだろう、急な坂を一心に秋の朝を自転車で下ることを体で覚えている
そして海に出た時の解放感も覚えている、それが旅なのである。
自分の体で地形を感じて覚えるのである。
人間は今車などで体験が浅薄なものになっている、だから一見広域的に動いても記憶されないのである。
現代では旅人はいなくなった、ホテルで豪華な食事するのは旅ではない、旅はかえって泊まるだけの粗末なものでいいのである。
長く旅するとなるとそうした宿が必要だからである。今は旅はただ移動するだけであり旅人もいないのである。
時々国道を歩いている人がみかけるけどそれも車の洪水の中を歩いているから旅人のように見えないのである。
とても江戸時代のような絵になる旅人にはならないのが現代なのである。
便利になるのはいいとしても必ず人間は何かを失う宿命にある、旅というのもなくなっいたのがそうである。
石川の竹貫とかの山の中の万屋(よやずや)で味噌汁とかご飯をごちそうになった、あんなことは今時ありえないのである。
江戸時代だったらそういうことがあっただろう、なぜなら山の中だと今のように何もはないから農家で何か食べさせてくれとかなる
そういうことができた時代だったかもしれない。
今はとにかく人間味がない社会なのである。
自転車だとあの時走っていたなとか体で感じて思い出すことがある。それが後で心を豊かなものにしているのである。
車だったらそういうことがない、ある地点にいった記憶だけになる、ある地点からある地点の間がぬけてしまうのである。
地理を知るには体で知らないと実感できない、グーグルの地図をみても坂のことはわからないのである。
坂とう峠をしるにはやはり体で経験しないと実感できない、車でも実感できないのである。
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