2018年11月21日

晩菊ー北風唸る家(詩)


晩菊ー北風唸る家(詩)

  
  晩菊や色とりどりには映えにけり
  
  晩菊や落ち着きて死ぬ場の欲しも
  
  我が家に一人残りて日向ぼこ
  
  
  北風のうなり誰住むや家の跡に松一本のここに動かず
  
北風唸る家  

木の葉が一二枚
ぽったりと家の中に
また貧しき人が来る
再び北風が今日吹き
我が家にうなる
この家にも悲しみと苦しみが
憎しみといがみあいと争いも
そして笑いと楽しさが
一家団欒があった
しかしそれも昔となりぬ
今は誰もいない一人
この家は父と母と姉が残したもの
私には幸いを与えしもの
家族はみんな死んだ
私が一人この家に残る
二階の広い廊下で一人日向ぼっこ
私には幸いが与えられた
北風が唸っても
この家はなお残り住む
私は一人この家に安らぎ守る
家にはなお家族がいるかもしれぬ
私を見守りつつまた思い出の場所として
・・・・・・・・・・
  

人間は最後は思い出だけになってしまう、死んで何が残るかとなると思い出なのである
でも思い出といっても何か形になっていないと思い出せないとなる
だから老人は思い出に生きるというとき、その思い出の場所が家であったり故郷だったりする
だから原発事故で避難しても老人は故郷に帰り家に帰りたいとなる
また老人ホームに入った人でも家に帰りたいというとき実は家族があった所に帰りたいとなる、でもその家族が実はなくなっているのである

なんか家というのはただの建物ではない、そこは思い出がつまった場所なのである
それでなかなかそこにある喪のでも思い出があるから捨てられないということがある
終活とか言われるけど全部の物を捨てることはしにくい、何か思い出がしみついているものがあるからだ
ものはものがつくとかものは単なるものではない、物心とかあり物と心は日本では一体化している、分離しないのである

家は物ではあるが何か物だけではない、そこに人間が60年とか住んでいれば人間が住んだ生活した思い出がつまった場所なのである
そこに家の不思議がある

ただ家族でも家でも必ずしもそこがいいとは限らないのである
親にひどいめにあった人は墓参りする気すらない、いい思い出がない人もいるからだ
私の場合は過分に親から幸いを与えられたのである
だから死んでからも親が姉が私に与えて残してくれた家になお住むことでまた幸いを感じているのだ
今まではそういうことを思わなったが死ぬと人間は本当に見方が変わる
死んでその人の価値とかを見直す、残されたものでもそうである
だからこうして家族がみんな死んでも残された家にいることが幸せだとなる

ではもしこの家を賃貸して住んだとしてもこういうことは感じない
ただ家賃を払う家である、ただ家が広くて便利でいいなとかはなる
でもそこに自分のように思い出をかみしめるとかにはならない
ただ広い家でいいなとは感じる
だから家というのは家族にしかわからないものがある

それで不思議なのは近くにある誰が住んだ家なのかわからなくなった所である
そこには松一本が残っていて北風が唸る、冬の日がさして残っている
それはがなんとも不思議なのである
家がなくなってもなお松が残っている、その松はその家の標しのように残っている
そこに家族も家もなくなったがそこに家があったということ家族がいたということを受け継いでいるか感じになる
それは自然の中の木ではない、松ではないからである
何か松は人間に見えるのである、あまり高くもない人間より高いにしても人間のように見えるからである、だから松は人間のように短歌にも残されているのである

晩菊というとき何か今や落ち着いて死ぬ場があればとなる、最近そういうついの住処をどうするのかとかそうした老人を問題にした番組が多い
人生百年をどう生きるかとかどこで死ぬかなどが問題になる
それだけ老人が多いから老人について話題になる
やはり落ち着いて死ぬ場所となると故郷であったり家族であったりする
そういう場が奪われた原発避難区域は悲惨だったとなる
金もらったとしてもそうである、そういう精神的損害は償いようがないからだ
でも限りなく賠償を要求することは許されないのである
だから原発事故で失ったものは大きいのだけどそれを外部の人とかあまり感じないのである、賠償金もらったからいいじゃないかともなる

北風が唸ったときどうしても姉が認知症が発症したことを思い出す
その時から自分のこの家での苦しみがはじまったからである
その時はまさに厳しい北風が我が家に唸り吹いたのである
それからプログで書いたきたように地獄を経験したのである

でもそれが終わるとこの家で一人残り思い出の場としてありつづける
それは結局自分は過分に家族に良くされたからである
そうでなければそんなに家族でも親でも思わないからである

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