原発事故と蛙(童話風に)
この辺は津波と原発事故で田畑は原野化した、草ぼうぼうとなった
それから十年は早くもすぎた、田んぼは耕地整理で広くなった
広くなると機械が利用しやすい、今は何でも機械でする
田には水が張られその畦にはタンポポが咲き水面に朝の光りがまぶしく反射する
苗が植えられた田だもどる
ふるさとの山の影がそこに映っている
そして蛙が声高に鳴く
[ケロケロケロ、ケロケロケロ]
ここは俺たちの生きる場所なんだ
ここで俺たちは生きるんだ
ここに生きる喜びがある
ここが俺たちの生きる場所なんだ
蛙の鳴く声はひびきわたる、十年過ぎてようやく復興したと蛙の声が喜びに鳴きひびく
それは長い時間だった、今でもまだ回復していない避難区域がある
そのまわりの田畑は草ぼうぼうとして荒地化したままである
でもここではようやく元に回復した
その時蛙はここにまた生きることの喜びに鳴いている
蛙も人とともに生きる生き物である、それが生きられなくなった
その悲しみは深かかった
確かに今は田んぼで米をとることはそれほど重んじられていない、だからこそ電気社会になり原発が作られたのだ
それで電気会社に勤める人は田畑が草ぼうぼうになっても何にも感じないということがあった、それは昔と違って農民が全体の一割にも満たない社会になったからである
でも田舎では蛙も人とと一体となり生きているのだ、生きる仲間なのだ
それが都会とは違う、蛙も田舎に生きる一員なのだ
蛙の鳴く声が聞こえない田舎は大きなものが欠けることになる
都会なら何も感じない、田畑が回りにないから感じない、田舎では蛙も人間の仲間でありともに生きるものなのだ
その蛙の鳴く声はひびきわたる、力強くひびきわたる
[ケロケロケロ、ケロケロケロ]
俺たちはここに生きる仲間だ
ここが生きる場所なんだ
ここに俺たちは生きるんだ
みなんと一緒に生きるんだ
ここが俺たちのクニなんだ
こういうふうに感じたのは一旦田畑も草ぼうぼうとなり蛙の生きる場所も奪われたからである、そのために一段と元の田畑に生きることの喜びを感じて鳴いたのである
何かありがたみは奪われたり失われたりしないと感じない、尊ぶこともない
日頃あるものは特別のものにならない、親でも友人でも死んで二度と逢えなくなる
そうしてかけがえないものとして思い出される
人間は失ってみてその本当の価値を知る、当たり前にあるものの価値もしる
人よ、今生きる場所を尊べ
ともしきをうれえるなく
その与えられた土地を耕し豊かにせよ
神はそれぞれの土地に富を与えている
それぞれの国に富を与えている
だからそれを尊び耕せ
外に良いものを求める前にその住む土地土地に良いものを見いだせ、何か良いものがありその良いものがまだ見出されていないこともある
ここで我々は学んだ、何が価値あるべきものなのか、我々は反省しなければならない
我々は外に求めすぎたのだ、それ故にかえって内にある良きものを見失っていたのであるそれで神はこの地にある良きものを奪ったのだ
それはその土地であり放射性物質に汚染されないきれいな水でありまた土地である
それなくして人は住むことすらできなくなったのだ
そして若い世代は子供たちはここから消えた、もう跡を継ぐ人もいなくなった
我々の過ちは何であったのか?それを深く反省すべきである
電気がなくても人は死にはしない、暮らせる、でも空気と水と土と木が汚染されたら生きていけないのである、その土地は放棄せざるをえないのである
我々はその基本となるべきものを軽んじていたのである
それ故に神はこの地を罰したのである、またこの地のみならず地球を汚染するものを罰する、世界の人を罰する、それを知るべきである、神を畏れるべきである
人の技(わざ)はわざわいにもなる、人の技には呪いが隠されている
それが全面的にいいものとはならない、危険がある
それを無制限に信じることは危険である、人間の知恵は神の知恵に及ばないからだ
そこで大きな事故となり大きな災いがふりかかる
そして人類が滅亡すらする、それを畏れるべきである
汚染した土地は元にもどらず次の世代の子どもたちも住まず荒野と化する
神に呪われた地となり人は住めなくなる、そのことを肝に命ずべきである
夜に満天の星がかがやき蛙の鳴く声は大合唱となりひびきわたる
その声は天に向かい神に向かってもひびきわたる
そしてさらに星が輝きをまして空に満ちる、その復興を天も神も喜ぶ
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