2008年12月20日

盛岡(冬の詩)

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    (冬の盛岡)


盛岡の城跡古りぬ冬紅葉

盛岡を幾度たずぬ冬柳

盛岡の紺屋町かな冬柳

冬晴れや山襞深む岩手山

橋わたり煉瓦の銀行冬樹かな

城跡に冬の古木の影あらわ行く人静か盛岡の街

盛岡の城跡の池凍るかな冬のまたここにめぐりぬ

盛岡の街を歩みて冬の日や柳の枯れて古書店ありぬ

プラタナスの並木の葉散りにしも喫茶店あり我がまた歩む

中津川の岸辺を歩み老木に我がまたよりて冬の日暮れぬ

川原に深く根づける老木や冬の日さして我がより帰りぬ

中津川冬や岸辺の喫茶店ホットユズ飲み心あたたむ

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 城跡と中津川
日本の城というと実際は石垣しか残っていない、外国なら石作りだから城の本体が残っている。城が今あったとしても当時からあった城はほとんどない、新しく再建した城だから当時のままに残った城はないのだ。だから実際残っているのは石垣だけだとなる。だから一段と日本の城跡は淋しいものとなっているのかもしれない、江戸時代が終わったとき残ったのはほとんど城の石垣だけだったのである。だから昔を偲べるのは石垣だけだとなる。盛岡城の石垣は何か一番心に残る。青葉城の石垣とは相当違って平地にありそれでも高台なのだが整然としていることが特徴である。青葉城は急峻な城壁でありいかにも戦国武将の伊達政宗の築城したものとなる。戦国時代のは要塞的な山城とかまだ多かった。信長の安土桃山城もそうである。要塞的な城で自然を要害とすることが多かった。その後城は平地に建てられるようになった。盛岡城はいかにも整然として城らしい城なのである。新幹線で何回も来るようになったら余計にこの城になじむようになった。青葉城はかなりの坂を上るからあまり行かない、盛岡城は街の通りを普通に歩いていて城跡につき日常的散策の行程になっているのだ。盛岡はそれでも仙台よりは寒いからすでに城の中の池は凍っていたのである。東北でもやはり天候の差はあり北に行くほど寒くなる。
城跡の古石垣の日だまりにきくとしもなき瀬の遠音かな  若山牧水

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盛岡というと賢治と啄木が有名だがこの二人は対象的である。賢治は金持ちであり啄木は貧乏に苦しみ死んだ。どちらも肺病で死んだのが共通点である。批評はいろいろあるがこれだけ若くてあれだけの文学を生んだのだから記念すべきものとなった。人間的には多々批判されることがあった。どちらも理想化される面があったが賢治にしても農民のためとはいえ金持ちの遊びだたとか批判がある。でもあれだけいろいろ多方面に才能があり実践もしたということが普通にはできない、そんな能力が普通ないからである。啄木はあまりにも悲惨だった。一家を背負うようになったことが最悪のものとなった。そして自ら肺病になったことで最悪となったのだ。それでも26歳くらいであれだけのことを書けるのだからその才能はぬきんでいたし常人からすると不思議だとなる。賢治のような境遇の若者は今ならいくらでもいる。でも当時は啄木のような境遇の人が多かった。だから才能を実らすことができない若者の方が多かったのであ。妻と住んだ家とか案内板があり路地の奥に入る道がある。そこに一時住んでいたのかと思うとあわれである。いづれにしろ盛岡に来れば必ず賢治と啄木を思うことにもなるのだ。
中津川の水音涼しくも終夜枕にひびく新居に移りぬ 啄木
この新居に住んだの三週間しかなかったのだ。この近くに妻の実家あった。若山牧水の歌はよく中津川の特徴をとらえている。川が二つある、その二つが街の中心を流れていることが情緒をもたらしている。中津川というのはなんともいえず落ち着く川なのである。旅でもある名所に何回も行くと印象が深まる。京都、奈良などは二三回行ってもわからない、季節ごとに何回も訪れれば印象が深まるのである。とくに歴史的なことはわかりにくいから何回も実地を踏むと何かしら発見があるのだ。今どきパリに通うようにして行っている人もいる。外国も一回くらい行っても深い印象はもてないのが旅しても何か書けないものとなっているのだ。
 


       盛岡の冬の詩


盛岡にまた来たりて城跡の石段上る

冬の午後の日さしてその寂けさや

古の人のここにありしもひそけかれ

ただ整然と石垣のみ残り往時を語りぬ

昔の人の我が歩むその足音を聞くや

我はまた中津川の岸辺の老木により休みぬ

鳩むれよりて事なき日のここにあれ

古き商家の白壁や柳は枯れて長々と垂れぬ

煉瓦の銀行の質実にまた昔の質実な営み語り

擬宝珠の錆びて上の橋わたりゆくかな

啄木のここに棲みしとその妻の歌の碑あわれ

賢治も歩みここに昔あり未来は育まれぬ

中津川の岸辺の喫茶店にホットユズを飲み

冬の日やプラタナスの葉も散りし通りや

喫茶店ありてここに老いも若きも語るは良きかな

北上の流れは滔々とみちのくをつらぬき海にいたりぬ

我はまた新幹線に颯爽と帰途に着くかな

 


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