2009年01月20日
残される記憶、記憶される物(詩)
残される記憶、記憶される物
そこに大きな花が馥郁と咲いていた
その花が散ったとき花は本当に消えたのか
その余韻は深くいつまでも残る
その花の思い出は消えない
その道に一本の古木が立っていた
その古木が枯れて倒れてなくなったとき
その木のことは誰も記憶しないのだろうか
何かがそこに木の霊のようなものが残っていないか
木はやはりその道の辺に立っている
何百年もあったとしたら簡単に消えるものだろうか
この世あったものは消えてゆく無常である
しかしそう簡単にすべてが跡形なく記憶から消えるのか
何かが残され記憶され語られてゆく
もしみな消えてしまうとするなら生は余りにも無常
無常の世にも無常ならざるもの
それがあってほしいと人は生きる
記憶から消されてならないものがある
60年もとにかくも一緒にいた人の記憶
それは簡単には消えないだろう
また消えてもならないものだろう
すべて良きものとしてあらじも
記憶に存在しつづけるものがある
消しがたく存在しつづけるものがある
それがやはり人間の一生の重みだろう
はかない生にも一生は重みがある
どんな老人もその重みを持っている
それは若者にはないもの
それが老人の言うに言われぬ重み
若者よそもおごるなかれ
やがてはみな老人となるものなれば
それは例えば村の入り口るある石
その石は何百年とそこにあり
謂われある石でありそこを動かない
その石を簡単に邪魔になったからととりのぞけるか
役に立たない石だからととりのぞけるか
その石は村の中で何かを語りつづける石
姥石とか名づけられ村と一体となってあった石
または要石とか名づけられ重しのようにあるもの
石は神としても祀られる
それはやはり長い時間のなかで存在しつづけた
時間の中でその存在感を培った
だから簡単にとりのぞくことはできない
単なるモノではなく村と一体化した石
空間の中に配置された単なる石ではない
時間の中で重みをました石だから・・・・・
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