2009年02月12日

京都・祇園芸妓の歌う(月づくし)から(想像の京巡り)


 

京都・祇園で芸妓さんらを囲んでよく歌われるのに「月づくし」がある。

 「東山では 春の月」
 「四条河原の夏の月」
 「通天橋の  秋の月」
 「金閣銀閣 冬の月」

日に日に紅葉にそまる通天橋

銀閣に迎えし客や冬の月

金閣寺を造営した足利義満の孫にあたるのが八代将軍足利義政である。慈照寺庭園、通称銀閣寺は、1490年、この義政によって建立された。
義政が銀閣寺庭園で詠んだ次の和歌がある。


くやしくぞ過ぎしうき世を今日ぞ思ふ心くまなき月をながめて
 

義満が最盛期の将軍だとしたら、義政は斜陽の将軍といえる。義政が心血そそいだ庭には月がくまなくさしていた。銀閣の造営の裏の話は凄まじい,その頃餓死者が京にあふれていた。その数も半端ではない、屍が放置され積み重なっていた。
1460年は、一、二ヶ月で約8万2000人の餓死者があったという。京都中に死体が散乱し、飢えた者がそれらを貪り、また鴨川の四条大橋に流れついた死体が、流れを塞き止めて洪水を起こしたことなどが伝えられている。
http://luis.jp/deepkyoto/niwa/ginkaku.html

中世でも死体は放置されていた。死体を焼くのも手間がかかる。野辺送りは大変な作業であり村のものが全部でしないとできない、だから葬式だけは村八分にしなかった。これは江戸時代の話になるがその前は死体は放置されていた。死体で橋になったとか死体はそこらじゅう道端でもごろごろ放置されていたのだ。それで化野に葬るようにした。死体の山が築かれていた。
こういう悲惨なことが歴史にはありその上に銀閣が建てられていたというのも歴史の事実である。餓死者の屍の上に建てられたともなる。それが金閣ではない、地味な方の銀閣だった。奈良の大仏ならそれなりの民の犠牲があったことを考えるが銀閣は金持ちが作った別荘くらいに思っていたが当時の迎賓館だった。茶室ではないれっきとした迎賓館だから政治的なまつりごとで接待していた。歴史的背景としてそういうものがあったことも知っておく必要がある。茶室も武士の迎賓館であったから日本では一見規模が小さくても政治を行う場所だったのである。
京都の歴史はわかりにくい、京都には千年の物語があるが名所がありすぎてわかりにくいのである。だから二三回行ってもわからないのである。奈良時代から京都へとさまざまな都が生まれ変わった。最近紫香楽宮で発見された木簡の「安積山の歌」 安積(香)山影さえ見ゆる山の井の浅き心を我(わ)が思はなくに(万葉集)陸奥国(みちのくのくに)に派遣された際、当地のもてなしに不満を示した王に対し、機転を利かせた女性が、誠意を表そうと詠んだとされる。ここにこのような木簡が発見されることはこの歌は相当古いし宮廷人にならわしのように歌われていた。一つの女性のもてなしのあいさつのようなものであり機転をきかしたというがすでに決まり文句になっていたのだ。だから郡山で接待した采女は地元の女性ではない、都から連れて来られた女性だったのだろう。万葉集の歌はそれほど古いことがこれでもわかったのである。第一紫香楽宮で発見されたこと自体おとぎ話のようだというのもわかる。紫香楽宮さえここが都だったのかと思うようなひなびた田舎なのである。ただそれでも陸奥のとのつながりがあり興味深いとなった。
 

花の春奈良へ京都へひととっび

奈良より京都へいくつ変わりゆく都やその跡春の雨ふる

一時の紫香楽宮も都なりたずねて見れば何か匂わむ

祇園の舞子さんなどどういうものか知らないが京都はやはり風流の文化の都であり教養が歌なども知らないとつとまらないのか、客になる方でも金だけでは相手できないともなる。風流とか楽しむのは金だけではできないからだ。そういう伝統があって当たり前だともなる。一方でそういう贅沢の裏側に悲惨な世界があったのも京都である。戦乱もあり京都が火の海になったこともある。しかし普通銀閣を見てそんな悲惨な凄惨な歴史を思い浮かべる人はいない、人間どこの世界でもフィレンツでルネサンスの美が開花してもマキャベリとかも同時代人であり都市と都市が絶え間ない戦争していたのである。時代が過ぎ去ったときそうした凄惨なことが忘れられ美しいものが残りそれだけが映えているのも歴史である。いづれにしろ京都は歴史を知らないとやはりなかなか一つの建物でも鑑賞できないのである。そして一度にいろいろてものは見れないから余計わからない、通天橋も行っていない、これはやはり自然が映えるように作ってある。写真見てわかったのである。京都では自然を庭にとりいれる。自然の美を映えさせるような工夫がいたるところにある。それが文化都市の京都である。京都とフィレンツを同列にするのもわかる。政治都市、宗教都市、技芸都市、町人(市民)都市・・・であるから共通していた。
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