冬の雨濡るるや静か石二つ
冬の雨濡れてものさぶ石二つ
冬の雨姉亡き後や石二つ
冬の雨近くの店の灯の親し
平泉(冬)
三代の栄華の跡や冬の雨
みちのくや冬の雨ぬる弁慶松
みちのくや金色堂に冬の雨形見と残る栄華の跡かな
みちのくの都はいずこ雨しとと枯野を濡らし暮れにけるかな
冬の雨でも今日は強く風交じりで降った。今は静になっている。新しい庭でも石は年数をかけないとなじまない、日がさし風に吹かれ雨に打たれて石の重みがでてくる。だから石を見るには時間がかかる。もちろん樹もそうである。自然は長い時間をかけないと見えないのである。時間の経過のなかで見えてくるものがある。外国旅行が意外と記憶に残らないのはやはりそこに積み重なった時間がありその時間を経験できないから浅薄な印象しか残らず終わっているのだ。一年くらいそこに滞在すれば明らかに違ってくる。これは京都などでもそうである。長く滞在すれば見えてくるものがある。現代のようなただ早く早く通りすぎてゆくような旅では印象に残るものが少ないのである。
近くに一軒の惣菜屋がある。今や商店街は喪失した。でも老人になると近くが大事になる。現実手押し車でス-パ-で行けない老人もいる。あそこに一軒店の灯がともっている。あそこかなら雨の日でも歩いて行けるとかなる。老人も80以上とかなると近くの灯がより親しいものとなるのだ。車社会でもそうなってゆく、車社会は近くをかえって疎遠なものにしたのである。
芭蕉が平泉を訪ねたのは五月雨の時期だった。五月雨や降り残してや光堂-となったがこれが秋から冬に訪ねたらまたかなり違った印象になった。みちのくの夏と秋とでは相当違っているからである。弁慶松とか弁慶にまつわるものは無数にある。今みちのくの冬の雨にぬれて淋しく立っている。平泉と言っても残っているのは金色堂だけである。おそらくだから世界遺産にもならなかった。 千年の都からはほど遠い三代の栄華でありはかなく消えたのである。でも文学的滅びの跡として格好の題材となったのである。
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