聖なる調和する樹々
枯木の枝と枝の影さしぬ
冬菜の畑に長く伸びにし樹の影
静謐な陽は移りもの音もなし
ここの樹々の列の心にしみぬ
日々ここを行きて何事もなし
しかし我深く思いぬ
樹は樹を傷つけることなし
人はいかに傷つけあうことか
樹は決して他を傷つけない
それが奇跡的である
樹は聖者なのかもしれない
樹は何を語ろうとしているのか?
樹に寄りて耳を傾けよ
その素直なる直ぐなる静粛なるもの
欲少なき簡素な質素なるもの
その下に憩え癒されよ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日も陽はやさしく静かに照っている
樹はそのやさしい光に欲している
神の愛のようなその冬の日の光
そして山脈に満足に陽は沈んでゆく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
樹は決して他を傷つけない
枯木の枝と枝の影さしぬ
そこにいかに深い平和のありしや
調和の日々はここにある
自然の限りなき静粛の平和を知れ
そを知らずして真の平和なし
その身近にそが探せし平和はあるべし
平和は叫ぶにあらじ沈黙の中にあり
欲少なき質素なる生活にあり
その歩む足音のひそけさよ