日影に眠る森のニンフ
森のニンフが深い木陰に
心地よく休み寝入っている
そを目覚めさすなかれ
夢の中で蝶々が舞っている
清らかな水の音が聞こえる
かすかにトウスミトンボが飛ぶ
深い森の常陰に眠っている
そよそよと涼しい風に寝入っている
千歳の苔むす岩を枕にして
冷たい滝壺には岩魚が隠れ
黒揚羽が一羽ダンスをしている
その山の道を通る人はまれ
ただ涼しい風が通りすぎるだけ
鳥は甘い木の実を食べて
葉陰に一時休んでいる
そのさえづりは森の奥深くひびきあい
静謐の森に甘美な歌は高鳴る
何か不足があるのか
誰も不足は言わない