2010年06月10日

隠された岩(詩-解説)

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隠された岩

 

山の奥の常陰に

億年隠されし岩

今我が前に顕われぬ

そは知られるざるかな

世の事を世の移りを

ただここに億年隠されぬ

世に何か意味あれや

虚しく費やされし命の多さ

何故か知れじ

ただ塵と消えにしを

虚しく使役されしものよ

サタンに使役されしものよ

実りとならず消尽されしものよ

この岩の何を語るや

愚かなる世よ、人よ

世の騒擾よ、混乱よ

そは変わらざるかな

この岩の何も成さず

億年隠れて黙すのみ

その威厳ある姿よ

川烏は隠者のごとく

さらなる川上に消えぬ

老鶯の声はここにひびき

ただ常陰に鎮まるのみかも


最近八木沢峠の登り口の御堂のあるところから坂を上っていった、さらに奥まで登るとはじめて見た岩があった。なかなか威厳のある岩だった。あそこも登山道のようなもの作っているのか木を切ったりしていて細い道があった。あそこは今までは道はない、だからあの岩のことはわからない、はじめて人間に姿を現した岩なのである。近くの自然でもそういうのがいくらでもある。特に岩や石はいくらでもあるからそうなる。そして臆年とか長い時間を人間に知られずあった岩などいくらでもあるのだ。でも一旦誰かがその岩に関心をもちあの岩はどうだこうだとかいいはじめると岩は人間化してくるのだ。この岩もそうである。名前を名づけたりすると人間化された岩になるのだ。

雨に濡れて。
独り。
石がいる。
億年を蔵して。
にぶいひかりの。
靄のなかに。
(草野心平)

この詩がふさわしい。そこには日もささない、いつも暗い場所にあったからだ。そういう場に隠されてある岩が多いのである。だからこうした詩ができたのである。川烏はいつも渓流にきれいな水にそって飛んでいる。ちょっと見かけたがさらに上流に消えた。流れがどこにでもありその奥は尽きることがない、川烏はそうした奥に飛んで消えてゆく・・・神秘的だとなる。

posted by 老鶯 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩全般
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