線路に眠るでんでん虫-「幸福駅」
宗谷本線-稚内近くの無人駅
線路にでんでん虫が三匹ほど眠っている
いつ電車は来るのだろう
いつまでも待っている
故郷から遠く離れた稚内
そこに自由な時間が与えられていた
故郷を遠く離れて拘束されない時間
広大な澄んだ空気のなかで羽根を伸ばす
いつ電車は来るのだろう
無人駅には一人しか乗る人がいない
線路にはじっとでんでん虫が眠っている
ああ その幸福な自由な患いのない長い時
人には苦しみも必要だ
でも苦しみだけでは心も歪む
人には幸福な時間も必要だ
たっぷりと幸福な時間が必要だ
人生は短い、労苦ばかりが人生ではない
たちまち人は老いる
病気になったりして旅もできなくなる
自由な時間もなくなる
そしてただ思い出す、その患いのない幸福な時を・・・・
何でもないそんな時が幸福の時だった
その幸福の時間は帰ってこない
場所は変わらないかもしれない
でも時間はたちまち過ぎて元の時間にもどれない
日々の労苦が重なり自由は奪われた
稚内-遠き果て-ぶらり無人駅に一人
でんでん虫が線路に眠っている
いつ電車は来るのだろう
いつまでも待っている
やっとのこのこやってきた一両の電車
その駅はどこだった、遠い果ての駅
そこに自分の幸福の時間があった
「幸福駅」という駅も確かにあった
しかし今では幸福駅という切符が記念に残るだけ
まさに幸福駅に幸福な時間があった・・・・
でんでん虫は線路にいつまでも眠っている
宗谷本線の無人駅
http://musubu.sblo.jp/article/37318341.html
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