
遠い幸せの記憶の無人駅
a happy memorial station in the distance
遠い北の果ての無人駅
気ままにぶらりとおりたその駅が
心の中に記憶されていた
線路を歩むもなかなか電車が来ない
でんでん虫が何匹か眠っている
清らかな流れを魚がさかのぼり
木陰の淵に隠れて涼しも
幸せとは何だろう
でんでん虫は互いに傷つけあうことはない
樹々も石もそうである
生き物はみだりに傷つけ合わない
人はなんでこんなに傷つけあうのだろう
殺し合うまで傷つけあうのだろう
北の果ての無人駅
でんでん虫が安らかに眠っている
誰も傷つけることもなく
じっと動かず眠っている
光はしんとして静寂に満ちている
そのでんでん虫と清らかな淵に眠る
魚を乱し驚かすなかれ
揚羽蝶はまた別な花に移り飛び
立葵は真昼間明るく咲いている
旅人はまたいづこかへ去る
そういう自由な日々がなつかしい
思い出は遠い北の果ての無人駅に帰ってゆく
そこにいたことが私の幸せの時と場
私はいつもそこを思い出し慰められる
人よ、そういう幸せの思い出を持つべし
そこを思い出すと幸せに満たされる
何でもないそんな所に幸せがあった
そこにいつも私の思い出は帰ってゆく