津波に残った庭の大石
(霊験を帯びた石となった)
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津波にも残れる庭の石
堂々として動かざるかな
その石に土台のみ残りぬ
今北風鳴りてこの大石や
故郷に残りけるかも
その背(そびら)松二本も
前の港の跡に残りけり
人よ、この残れる石に祈れ
この石の津波にも残り
霊験を帯びたるを知れ
津波にも動かざるもの
不動なるものの力よ
この石に新たな力宿りぬ
360度パノラマ
今回の津波によってのちのちに語られることが様々に生まれた。陸前高田市の奇跡の松もそうだった。゛何万本のうち一本だけ残ったということは本当に奇跡だった。この辺で残った松もそうだった。右田の松原にはいい松があった。松が太いのでいい松原だった。それで前に紹介した松は本当に悲壮な松となっていた。松の幹ははがれ枝は折れていてまるで激しい戦いを生き抜いた武将のようだった。その姿は凄まじいものだった。よくぞ残ったあっぱれといいようがない松だった。他にもどういうわけか二本並んで残っている松がこの辺では八沢浦とか右田とかにあるし烏崎にもあった。
そして烏崎に残ったこの石も記念碑的な石となった。石だってあの津波では流されたのが多いのだ。防潮堤も破壊されたし石だって流される。津波の力は本当にそら恐ろしいものだった。その津波にもちこたえてこの庭の大石は残った。この石の回りの石も忠実な従者のように残った。小さいから流されても不思議ではないがこの真ん中の大石とともに残ったのである。
石の配置は前に置く石があり脇に置く石がありと定められている。それがそのまま残っていた。この石は津波で一つの記念碑的石となった。何か霊験を帯びる石となった。残った松もそうである。自然のものでもこういうとき今までにない価値が帯びてくる。霊験を帯びてくる。もともと石や岩の霊験は動かないということ不動にあった。不動ということは回りのものに惑わされない、付和雷同しない象徴として石や岩があった。
それがますます津波にも耐えて動かなかったことで不動という価値を増した。新たに霊験が加わったのである。そういうところから一つの信仰も生まれてもくる。謂われがある自然物,石や岩や樹でも何かそういう霊験をあったのだが時間がたってわからなくなったのである。この石はまだ霊験が新しい。でも時間がたてば伝説的な石となってゆく。津波を記念する石となる。
ともかく津波の後遺症はまだまだ残り長びく、伝説が残るほどの惨事だった。冬となり北風が吹き津波の跡に土台と庭の石と松が残っている。その残ったものが風格を帯びて霊験が加わったのである。陸前高田市のように壊滅的打撃を受けた所では残った一本の松でも頼りにする、そういう悲惨な状態だからこそその一本の残った松は貴重であり拠り所となったのである。それはもはやただの松ではない、住民がそこに残るという願いがこめられていたのである。
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