街中に蔵ある家や残る柿
仙台にも仮設住宅年の暮
長々と棚引きにける冬の雲電車通らず久しくなりぬ
新地にそ家並見えず迫りける寥々として冬の海かも
黒々と枯木の影や動かざる老いて離れじ故郷に棲む
雪けぶる蔵王を見ゆや久々に仙台に来て年も暮れなむ
仙台の枯木並木に鳩並びとまり冬の日平和なるかも
仙台の欅並木に冬日さし喫茶店にそ本を読む女(ひと)
仙台の通りになほも散る木の葉通り歩みて年も暮れなむ
ようやくに仙台に来て喫茶店に我が休みつつ落葉踏み帰る
雪かきに会津の人となりにしやいつの日帰らむ年も暮れなむ
磐城より職人来たりて屋根直し年も暮れなむ福島思ふ
仙台に来たのは8か月ぶりだった。阿武隈川から蔵王が見えて雪だった。本当に久しぶりだった。やはり時々都会の空気を吸わないと気分転換にならない。仙台は都会でも欅並木がいいし木の葉がまだ散っていた。仙台は都会でも情緒がまだある。欅並木の通りを歩み喫茶店に入り本を読むのがなんともくつろぐ。それが何か文化的というかやはり相馬では味わいない都会の雰囲気である。これは仙台でしか味わいない、あの欅並木がやはり効果的である。
その欅並木の太い枝に鳩が身を寄せ合うようにして並んでとまっていた。それがなんともほっとしてよかった。その姿を見たとき子供の頃を思い出した。みんなで無邪気に体を寄せ合って集まっていた。その時ただ無邪気だった。互いに心も身もよせあいあたたまっていた。おしくらまんじゅうとかの遊びも思い出した。鳩は無垢を現しているのだ。ともかく津浪やら放射能やらともう世界の終わりのようなことを経験したので仙台は平和だな、あの枝に並んだ鳩を見てほっとしたのである。ただ仙台の長町に仮設住宅が建っているから仙台にも影響している。仙台で金を使う工事関係者などがふえて景気いいというのもそのためである。ともかく今回の津浪、原発事故の影響は長びく、心に対して影響が大きすぎるのだ。以前として津浪の跡を見ると荒寥としてしまう。仙台から相馬の方に帰っても津浪の後遺症は自分自身は被害にあわなくても消えないのである。家がなくなってしまった、人が死んだということの傷痕が大きすぎたのである。その傷痕はなかなか消えるものではない、実際に被害にあわなくてもその荒寥とした風景が心に刻まれるからである。
そして原発事故で各地に散らばり住んでいる人が大勢いること故郷に変えれず今年が終わろうとしていること動乱はつづき年が暮れる。それでも枯木の影が黒々として写っていたように老人になるとその土地から動けなくなる。だから老人が移住を強いられたことは過酷だった。なれ親しんだ所から離れるということは過酷だった。人間は年とるとその土地と一体化してゆく、そういうのがそもそも生き物であり本能的なものともなっているから土地から切り離されることは何か本源的アイディンティティを奪われるようになるので辛いのである。
屋根を直して70万かかった。屋根のマルイチとかの会社であり本社は水戸にあるみたいだ。郡山とか磐城にも支社があるみたいだ。屋根はどこもこわれたからまだまだ直していない所がいくらでもある。この辺の職人だけでは手が回らない。なんとか屋根を直したのであとは安心である。家持っている結構金かかる。この家は直すのに一千万はかかっている。ともかく自分の家に住めるからいいとはいえる。他では会津の仮設住宅とかに住んで雪かきしていた。大熊の人だった。そういう人を見ているとまだいい方だとなる。
雪かきをして会津の暮らしを身をもってしるというのも想像もしなかったろう。ともかくこの辺はこれからどうなってゆくのか、電車は21日から相馬-原町間で通るから便利になる。相馬から亘理のバスの便は多い。一時間おきに利用できるとなると仙台が遅くても電車で変えれるから便利である。亘理を7時が最終でありこれにのらないと原町までは帰れなかった。今度はそれより遅くても相馬から電車で帰れる。
鳩の写真はカメラ忘れてとれなかった。鳩の写真だけをとっていたサイトがあった。やはり写真は一回限りのシ-ンがあったりするから貴重である。同じ写真が他にない場合は貴重なのである。
身をよせあって並んでとまっていた鳩の写真をとれば貴重だった。今は写真を見せないと訴えない時代だからだ。なんとか絵にしたけど雰囲気は伝わったと思う。
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