春の星さわに煌めく飛鳥かな
争いなし天に煌めく春の星
鳩のごと天に平和や春の星
春の星飛鳥大仏の微笑かな
国成りぬ飛鳥の宮や春の星
香具山の高くはあらじ春の星
春の星飛鳥に成りぬ宮いくつ
人結ぶ石橋あわれ春の星
橘寺その名のいわれ春の星
寺ありて礎石を踏みて春の暮
飛鳥にそ橘寺や礎にその紋なれや春の星見ゆ
橘について
http://kamnavi.jp/jm/tatibana.htm
旅をして記憶に残っていれば成功だと前に書いた。何か印象に残ればあとで詩でも書けるけど残らなければ書けない、自然でもそうである。飛鳥は山際であり奈良の奥であり都会ではない、それで春に行った時、星がきれいだった。闇もまだ深い所だったから星がきれいだった。それで夜も歩いていた記憶がある。その記憶にしてもすでに30年とかたっているのだけど記憶が蘇るのはやはりそこにいた時間が長いということがあった。それだけの時間の余裕があったから記憶に残っていた。飛鳥でも奈良の方に行くとすでに都会であり春の星がきれいには見えない、ネオンの光の方が優勢になるからだ。飛鳥はまだ開発されていないから山もシルエットのように暗く星がきれいなものとして記憶されていたのだ。自然でその場所が印象的になるところがある。瀬戸内海の明石城は海に面して春の夕暮れ情緒があった。景色と文化財が城が一体となり美しかった。そういうところは印象に残る。都会化したところは印象に残らない、飛鳥は都と言っても大きな宮殿があるわけでもない、小さな宮の跡しかない、でも飛鳥が日本の国の始まった所だから歴史的場所である。
飛鳥というのが記憶されるのはまた名前が良かったのだ。アスカとは何の意味なのかわからないけどひびきがいい。日本的でもない何か異国のようなひびきなのである。その名前故にひかれるというのも人間である。ただ飛鳥も政治の場所だったというときそこに血なまぐさい争いがあり首塚とか談山神社とかあり物騒な所でもあった。これは政治の場所となった都ではどこの国でもそうである。童話的な所などない、人間の争いと醜さが必ず記されている。人間の社会に争いのない場所などない、それは天国にしかない、その人間の本性は全く21世紀でも変わらない、ただ自分が訪ねたとき闇が深くただ春の星がきらめいていたことが印象に残った。寺の大きな礎石とかも残っていた。飛鳥と言っても特別に何か目立つ遺跡はない、平城宮すら枯野だったから日本ではロ-マの遺跡のように歴史が残らない、だからアスカという名前だけから都を詩的にイメ-ジするということもある。阿武隈高原の都路(みやこじ)なども都でも何でもないけど山里だけどその名前だけで都をイメ-ジするから不思議である。飛鳥は歴史的から裏付けがある日本の国の興った所であるから別であるがそれでもあのような山里が都だったのかとなる。それで名前だけが印象的なものとして残るということがあった。
ともかくその時自分は何の拘束もなく飛鳥をぶらついていた幸福があった。人間はつくづくそうした幸福な時間のことがわからない、そういう時間もなくなりその場所に行けなくなるというときその時間と場所にあったことが幸せの時間だったとなる。別に近畿の人だったら簡単に行ける場所である。でもみちのくとなるとそれなりに遠いところなのである。その遠さによって価値がでてくるということもある。故郷だってそこに住んでいるとその良さがわからない場合があるからこそ「故郷は遠きにありて思うもの・・」とかなる。故郷を離れたとき故郷が輝いていたとなるのはそのためである。人はそこに住んでいれば心がにごってくるのだ。遠くは何か理想的なものとしてイメ-ジしている。実際は違うにしろ現実とかかわらない遠くに憧れのである。春はやはり近畿の方が一段と春らしい、自然と人間の栄が一体となっているからだ。まだ自然の美しさも残っているからだ。大阪は芭蕉すら繁華であり嫌って句も残していない、でも大坂城の夕日に映えた桜は格別だった。
やはり西の方が桜の色は濃く春の太陽は一段と燃えて輝いている。
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